小児歯科の
豆知識Bits of knowledge

歯並びと食事の関係

歯並びと食事の関係

突然ですが、味は何歳頃から感じていると思いますか?

正解は、妊娠8週頃からだそうです。赤ちゃんは、お母さんのお腹の中の羊水やおっぱいを飲んで成長しますが、お母さんのストレスや精神状態によって味が違うそうです。加工食品やファーストフードなど(手軽で美味しいですが)偏った食事よりも、野菜や果物が入ったバランスの取れた食事の方が、またストレスを抱えているよりも、ストレスの少ない方が、羊水やおっぱいの味は美味しく、その子が大きくなった時も、好き嫌いはあまりないそうです。

なぜ、「味はいつから感じているか」という質問をしたかと言うと、歯並びが悪くなるかどうかは、小さい(お母さんのお腹にいる)頃からの食事の仕方に大きく影響を受けるからです。最近のお子さんは、歯並びの悪い子が多く、また鼻呼吸ができていない子も多く見受けられます。その原因は、顎がしっかり発達していないが為に、永久歯の生えるスペースが無くなり、鼻もあまり成長していないので鼻の通りも悪く、必然的に口呼吸になります。そうならないようにする(顎をしっかり成長させる)為には、まず妊娠中も含めて、お子さんが小さい頃から、食事に気を付ける事が大切だと思います。

授乳・食事のポイント

1授乳は、母乳が出るならできるだけ母乳で。ミルクは、あくまで補助的に。
母乳には色んな栄養素が入っていますので、自然に免疫力がつきます。ミルクは赤ちゃんを泣き止ませる時などに手軽ですが、味が変わらないためにやめにくくなります。
2飲ませる時は、浅飲みでなく、おっぱいまでしっかりくわえさせる。
浅飲みだったり、口唇を巻き込んでいると、上顎の大きさや形が悪くなる可能性があります。
3離乳食はできるだけ手作りで。発達に合わせて、舌や歯ぐきでつぶせる硬さにする。
市販のベビーフードはあくまで補助的に。
離乳食を作る姿を見たり、音を聞いたり、臭いを感じる事で、赤ちゃんも食べる準備をします。(ベビーフードでは、このプロセスが省かれます!)家族と一緒に食べる事で、生活リズムを整え、豊かな心を育み、絆を深めます。ベビーフードはあまり噛まなくていいので、舌もうまく発達せず、噛む力も育ちません。
4おやつは、第4の食事と思って、炭水化物(おにぎり、ふかし芋、甘くないパンなど)
に果物や牛乳、チーズ、ヨーグルトなど乳製品を組み合わせる。
ジュースやジャンクフードなど加工食品は甘味や塩味が強いので、与え過ぎると、野菜などの苦み、渋みを受け付けてくれなくなり、好き嫌いがひどくなる可能性があります。
5食事中は、TVを消して、足を床やイスの足置きなどにつかせて(置かせて)
食事に集中させる。
6食事中は、流し込ませないように、水分を与え過ぎない。
流し込む癖がつくと、あまり噛む習慣が身に付かなくなります。
72才になるとイヤイヤ期に入るので、それまでに食事や歯磨き、トイレをある程度、
習慣化しておく事が大切。
1歳代で完全にできなくても構いませんが、子供の頭の中で「こうするものなんだ」と理解できていたり、ある程度定着していると、イヤイヤ期も乗り切りやすくなります。
8できるだけ、外などで身体を動かして遊ばせ、お腹を空かせて、根菜類などを大き目、
硬めに切って、噛み応えのあるものを与える。
食事前に、お菓子やジュースなどを与えてしまうと、満腹中枢が満たされて、食事をあまり摂りたがらなくなります。
9食欲には、早寝早起き、決まった時間の食事、よく遊ぶ事が関係している。

実は大切な「足育」

実は大切な「足育」

以上が、食事に関するいわゆる食育の話ですが、最近は、「足育」という言葉もあります。と言うのも、子供にも偏平足や浮き指、ハンマートゥ、外反母趾と言った、足の発育不全が見られるようになったからです。

浮き指 ハンマートゥーの治療前・後 外反母趾

原因として…

  1. 外で遊ぶ習慣が少ない
  2. 裸足でいる習慣が少ない(室内でも靴下を着用している)
  3. 着脱しやすいサンダルの増加
  4. 生活環境の変化(和式トイレの減少、公共交通機関の利便性)
  5. 地面の凹凸の減少(コンクリート化の増加)
  6. 購入時点での靴の変形

などです。

うちの子ですが、恥ずかしながら足がついていません…

うちの子ですが、恥ずかしながら
足がついていません…

では、どう対応したらよいのでしょうか?

  1. 室内では、できるだけ裸足で生活する。
  2. 靴をはいたら、ちゃんとマジックテープで足を固定し、靴の踵(かかと)は踏まないようにする。固定が緩かったり、踵がないものだと、足首が固定されず、靴の中で足首や足の指が動いて、思いっきり走れない。
  3. インソールが外せる靴を選ぶ。立位の状態で、インソールと足裏を合わせてみて、インソールよりはみでていたら、足の指が曲がる可能性あり。
  4. 食事の時は、足裏・足の指をしっかり接地させる。接地していないと、体の重心が後ろになり、頭を前に出す姿勢となる。舌骨も下後方に引っ張られ口を開けざるを得ない状態となる。
  5. 足指ストレッチ、つま先立ち、片足立ち、雑巾がけなどをして、足指を鍛える

また、授乳する時は、縦抱きにして、横抱きで行うにしても、赤ちゃんの足が、お母さんの手や足についていると、鼻呼吸の機能が上がり、吸引力もアップします。
実際、人間以外の哺乳類が授乳している写真を見ると、確かに赤ちゃんの足は、お母さんの足についています。さらに、縦抱きの方が、喉に直接、母乳が当たらないので、アデノイドになりにくいという報告もあります。

以上の事に気を付けて育児をされても、遺伝的な要素が大きい場合は、やはり、矯正が必要になるかもしれませんが、何も知らないで育児をするよりも、知ったうえで、多少気をつけながら育児をするのとでは、将来のお子さんの健康は違うように思います。

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